無人駅からはじまる、源流への旅 期間限定プランスタート

青梅駅から奥多摩駅までの13駅は、「東京アドベンチャーライン」。
一駅、また一駅と標高が増し、
街のものから山のものへと空気が変わっていきます。
都心からこれほど近くして、
山の空気を感じることができるのは、
青梅線の魅力の一つと言われます。

その先には、東京の水を育む森があり、
きれいな水でしか育たない植物があり、
水と共に歩んできた人々のくらしがあり、
二十一の「集落」で息づく伝統があります。

降りたことのない無人駅の外には、
いったいどんな景色が広がっているのでしょう。

各駅それぞれの物語を、
少しずつ紐解いてみましょう。

Story of Sawai Sta.

沢井駅 | 小澤酒造 JR青梅線「沢井駅」
酒と向き合って、三百余年。

御岳山や高水三山などへのトレッキングを楽しむ乗降客が多いと言われる「御嶽駅」。その一駅手前(東京寄り)にあるのが「沢井駅」だ。酒の仕込みの時期である冬場から春にかけての「沢井駅」のホームでは、風向きによって時折酒の香りがするとも言われる。そんな目と鼻の先ほどの距離にある「小澤酒造」は、江戸時代から続く三百年もの老舗酒蔵、銘酒「澤乃井」の醸造元だ。

駅から数分歩くと、「澤乃井」のロゴが入ったタンクや酒造らしい白壁の建物が目に入る。予約制の酒蔵見学では、歴史ある蔵の中に足を踏み入れ、興味深い酒造りの説明を聞くことができる。立派な杉玉や神棚、樹齢百年単位と思われる丸太の梁が、歴史ある酒蔵の貫禄を醸し出す。

青梅街道をまたぐように、酒蔵と渓谷沿いの庭園に敷地が分かれる。酒蔵見学の前後には、水の恵みを堪能できる庭園側へ。自家製の豆腐・湯葉料理の美味しい「ままごと屋」と「豆らく」では、昔ながらの製法で作られた木綿豆腐や大豆の旨味が凝縮されたおぼろ・絹豆腐に舌鼓を。きき酒処や軽食の売店でもお腹を満たすことができる。

食後や散策途中に喉が渇いたら、2021年11月にオープンした「CAFE雫」へ。澤乃井の仕込み水で淹れたコーヒーや酒粕クラッカー、ままごと屋の豆腐を使った豆腐チーズケーキやおからドーナツ、豆乳ラテを口にしながら、多摩川の渓流を見下ろすウッドテラスで一息つける。

すぐ近くには、奥多摩の文化を感じられる場所も。約4000点もの所蔵品をほこる「櫛かんざし美術館」や、日本画の巨匠川合玉堂の名作が15歳ごろの写生から84歳のものまで幅広く展示された「玉堂美術館」。一日かけて、奥多摩ならではの食、歴史、文化を堪能できる駅。

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Story of Oku-tama Sta.

奥多摩駅 | 登計トレイル JR青梅線「奥多摩駅」
東京の水を育む森の散策

森に足を踏み入れると感じられる、緑の鮮やかさ、木々や土の香り、森に息づくいのちや力。人間のルーツを五感で感じられるような森の中は、癒しやリラックスを与えてくれる。このような森の持つ癒し効果は「森林浴」として親しまれてきたが、この効果を更にこころと身体の健康に活かそうとする試みが「森林セラピー」だ。

奥多摩町にはセラピーロードとして認定されているコースが5つほどあり、ユニークなセラピーツアーが定期的に開催されていることはあまり知られていない。町が実施する講習や検定を受け、セラピーアシスターとして資格を持つ森林セラピーガイドも26名ほどいる。自然・郷土史・医療等の知識を備え、バードウォッチングや登山、ヨガ、アロマの講師、鍼灸師など各個人のスキルを生かしたツアーもバラエティに富む。東京の水を育む奥多摩の森をもっと知り、楽しむ新しい提案だ。

「奥多摩駅」から徒歩約15分ほどのところにある「登計トレイル」も、そんなセラピーロードの一つ。ヒノキのチップが敷き詰められた、「香りの道」。コースのところどころに点在する、ユニークな設計の建造物。人間工学に基づいて設計されたという空を見るベンチや、森と対話するようなテーブルと椅子。「車椅子用モノレール」も完備されている。

とあるセラピーアシスターのツアーでは、ルーペを携帯し、歩きながら半径1メートルの自然を感じるというテーマ。ルーペで覗くミクロな世界の美しさに息をのむ。見て触って、歩いて感じる自然の不思議。奥多摩にしかない植物の数々。香りで見分ける樹木の種類。ロードの途中には、散策の疲れを癒す、アジトのような小屋が数軒あり、薪ストーブで暖まることもできる。

登計トレイルへ向かう前後には、エメラルドグリーンに輝く多摩川上流の氷川渓谷や、山の斜面に佇む登計集落などを横切る。そんな風景も、地元を感じるささやかな旅の瞬間。歩いて感じる奥多摩の新しい魅力がそこにある。

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Story of Kori Sta.

古里駅 | わさび田 JR青梅線「古里駅」
わさびツアーwithわさびブラザーズ

古里駅からお散歩気分で集落を歩き、さらに山道を数分行くと、息を飲むような美しいわさび田がある。奥多摩のわさびに惚れ込んで移住した角井兄弟が地元の方の意思を継いでいとなむ古いわさび田だ。奥多摩のわさびの素晴らしさ、奥多摩の水の素晴らしさを世界へ伝えたい、とわさび田ツアーも熱心にガイドする兄弟。

兄弟に続いて、長靴を履いて沢を登る。風景や自然についての丁寧なガイドからは、奥多摩愛が溢れる。手で積み上げられた石積み、したたる清流、気がつけば、足元には青々としたわさびの葉、見上げると山の斜面に沿って十段ほどのわさび田の絶景。石積みは、兄弟が地元の人からやり方を教わり自主的に技術を身につけた手づくりだ。今では、奥多摩の集落のあちこちへ呼ばれ、崩れた石垣を手積みで修復するほど。100kgほどの石も軽々と持ち上げる。

掘り出したばかりのわさびを清流で洗い、丹念に土を取り除く。あざやかな手つきで、ナイフで根っこを丁寧に削ぐと、土と根っこにまみれたわさびが、薄緑色の見慣れた姿に変わる。

畑の中でふるまわれる、一杯のわさび丼。熱々のご飯にかつお節、お醤油を数滴、すりたてのわさびを添えて。清流をたっぷり吸い上げたそのみずみずしさにハッとさせられ、続いてツーンと鼻をつく香りをかみしめる。わさびを育む清流のせせらぎを聞きながら、森の空気といただくご飯のおいしさ。最高の贅沢な時間。

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